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▼基礎知識 |
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●スタンダードな施工例 |
屋上緑化のもっともスタンダードな施工例を下記の図に示しました。
屋上は当然防水処理をしてありますが、その防水層が破壊されないように図で示すとおりシートなどで保護層をつくります。
その上に、保水、排水が適度に行われるよう保水排水層を設けるか、もしくは専用のシートを間に入れます。
また植物の根が防水層の隙間やコンクリートの亀裂に入り込んだりしないように防根層も不可欠です。
その上に軽量の土壌をのせます。
「緑化施設整備計画の手引き」(国土交通省)より
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●保水・排水について |
地上では雨水や散水は、自然に土壌にしみこまれ地中深くに排水されていきますが、屋上では土壌中の水をすみやかに排水するために、排水層を設けるなどの工夫が必要です。
土壌に水がたまり過ぎると植物の根ぐされの原因となりますので排水溝はネットで覆い土壌や落葉でつまるのを防ぎます。
水が溜まりすぎるのも問題ですが逆に流れすぎるのも問題です。
土が乾ぎて植物の生育が悪くならないように保水層も必要です。
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●夏の遮熱効果、冬の保温効果について |
屋根や屋上を緑で被うことで高い遮熱・保温効果を期待することが出来ます。屋上緑化の仕様的な一番の利点と言えるでしょう。
土壌による遮熱、保温効果は土の水分量によって大きく変わるので、ただ屋上に土をもっただけではあまり効果は期待できません。緑が茂り、適度に土が潤いを保つことにより劇的な遮熱、保温効果を発揮してくれます。
夏には草が水分を蒸発し気化熱が屋根を冷やし階下の部屋を涼しくしてくれることでしょう。
冬には、露出スラブではかなりの量の熱を室内に通してしまいますが、屋上緑化という外断熱材で保温効果が発揮され、また外気温に左右されにくいため結露予防にもなります。
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●荷重について |
建物の屋上に緑化をする場合、土壌の重量により建物に荷重がかかります。新築の場合は荷重を見込んだ構造にしておけば問題ありませんが、既設の建物に緑化する場合は、その建物の積載荷重制限内(建築基準法では全体でおよそ60kg/m2、最大180kg/m2)に抑えなければなりません。
このとき、土壌が水分を含んだ保水荷重で計算することが大事です。
躯体の耐荷重によっては、軽量土壌(人工土壌)で対応します。
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●土壌について |
屋上緑化の土壌層には下記のような要素が求められます。
1、荷重をかけない
2、薄層である
3、保水、排水性に優れている
これらの要素を満たすのは多くの場合”人工土壌”ということになります。
(人工土壌はパーライト系、軽石系、リサイクル系の3つに分類されます)
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●勾配屋根の緑化について |
勾配屋根では土壌の流出が懸念されます。さらに水は上から下に流れるので上のほうが乾燥気味になるなど土壌が不安定となります。土壌の流出が続くと植物の生育にも影響していきますので勾配屋根を緑化する場合は、後々のメンテナンスが十分できる状態にしておく必要があります。
下記項目が必須です。
1.屋根に上る設備の設置
2.メンテナンス通路の設置
3.灌水装置の設置
4.適切な排水経路をとり、水はけをよくする |
●水やり、メンテナンスについて |
春・秋:週2〜3回
夏:原則 毎日
冬:週1〜2回
※電池式のタイマー式自動給水装置なら1万円以下で購入できます。
※土の湿りをキャッチして自動的に給水するセンサー式給水装置もあります。
(どちらも一度施工すれば面倒くさい水やりは必要ありません)
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参考:船瀬俊介著 「屋上緑化完全ガイド」 |
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